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蠢くウジが開く道

光と繁殖ついて

この虫を如何に人工的な環境下で飼育し得るかという問題についてオンライン上には様々なフォーラムや学術的な研究成果が多く出てきており、基本的な飼育環境については要するに明るく温暖で適度な湿度があれば良い、ということになっている。

すなわち、いわゆる温暖な地域では一年を通して太陽光を利用した屋外での飼育が可能なわけだが昼間の外気温が20度を大きく下回り、日照時間が著しく減る冬がある地域では室内での飼育を強いられるということになる。
温暖な地域であっても天候に左右されない安定的な有機物の処理と幼虫の収穫を達成するためには適度な環境すなわち温度、湿度、換気と光を調節管理する設備が必要となる。

 

出回っている文献などによるところ温度と湿度に関しては摂氏20から40度、湿度80%以上となっており、これはヒーター、冷却ファンと加湿器に温度湿度センサーの組み合わせれば大きな問題ではなく、幼虫の飼育については餌を食べる際に熱と水分を発散するため、幼虫の入っている容器の遮熱具合と換気によって温度と湿度が上がり過ぎないように調節する程度でそれほど難しくない。

課題は安定的に、幼虫が羽化、成虫が交尾、産卵する環境を人工的に整えることで以前、冬場に庭の片隅の日が当たる場所に小型のビニール温室を設置しこたつヒーターを熱源に幼虫の羽化まではうまくいったのだが、なぜか全く交尾、産卵をしてくれずその原因について、そこそこの太陽光はあったていたので湿度不足と卵を産み付ける餌場の匂い不足かと思案しているうちに家の引っ越しをしなければならなくなり、片付けなど忙しくしているうちに冬も終わって実験がストップしてしまった。

 

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夏場はサナギ前の幼虫を庭にばら撒き、Hungry binにソーラー換気ファンを設置し蛆が活動しているコンポストの匂いが強烈にする特定な箇所に産卵させる材料を設置することで意外と好天が続いた後には容易に卵の採取が可能であった。が産卵も3月にはほぼ終わり、実験再開といっているうちにもう寒々しい6月である。


蛆虫飼育に関連するコンサルタントサービスを提供しているEVO Consortiumの研究文献を整理したブログによると、成虫が照らされる光の質(波長、時間帯と日照時間/人工照明時間)の繁殖行動と卵の羽化へ影響を調べた文献がいくつかあり、概ね交尾産卵に好影響を与える必要な光の条件は適度なUV(波長 315–380 nm?) と450から700nmの波長範囲の光ではないか、としている。これは要するに可視光線と言われるレンジであり、それに紫外線を加えた、要するに太陽光そのものであろう。メリアブの眼が感知できる色をベースに、太陽光に含まれる350nm以下と570nm 以上の波長を含むおおよそ70%は不必要ではないか、とも考え得る様であるが、眼以外の組織が感知する光の波長にいかに繁殖に関係しているか不明なため太陽そのものレプリカを提供するのが無難かもしれない。

 

研究によると最適と思われる人工光のみを用いた場合、十分な太陽光を受けた場合に比べて60%ほどの繁殖率を得られたとの記述もあり、これは一見それほど高くない様にも思われるが、世界各地の様々な日照環境を考慮すればこの結果も決して悪くないものと考えられるし、一般的に日光との併用で成功率はさらに上がるとされているので人工的環境下で通年飼育を目論むならこの繁殖促進光源(ラブライト、略してラブラ)は必須となる。

 

水槽で海水サンゴを飼育しているコミュニティの方々もサンゴの健全な生育のためにそれぞれ必要な電磁波長に特化したLED光源を自作している様で、蛆虫ラブラの自作も進めて行きたいところだが、このEVO Consortiumが取りまとめた情報を元になんと既にLEDラブライトを開発、成果を検証して結果一定の結果が得られたとのことで小規模飼育用に販売を始めている。
これは試して見たい、ということでちょっと高価ではあるが50W仕様を注文したところ。届き次第、ラブケージ(ラブケ)にヒーター、加湿器と共に設置し羽化、交尾、産卵と至ってほしい。